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未生流東重甫

2019年5月のコラム 住空間のいけばな


2019年5月のコラム 住空間のいけばな

2019年5月は「令和」初年です。私にとって、昭和から平成を生き、新たに迎える「令和」はその集大成になる新年号でもあります。世間では新年を迎えるかのような賑わいを見せていますが、その一方で年号の変換で大変なこともあるようです。免状申請の手続きにて申請用紙に「平成」の年号がありますが、令和元年5月と真新しい年号を書いてみると、意外と自然になじんできます。

さて、昨年から「住空間の花」として新しく講座を設けました。「いけばなには敷居が高いし、今更頑張る意欲もない。でも玄関や居間には生花を飾りたい」という声が多く、そういった方が比較的なじみやすいいけばなが「住空間の花」です。

まずは、1種の花を飾ります。1種の花材を見つめることで、今まで格花(伝承の花)や現代いけばなとしていけてきた時より細やかにその花材の美しさや個性を感じる事が出来ます。なぜならばいけばなは同じ花材であっても、育ちの違いや、季節でいろんな顔を見せてくれるからです。当然、同じ木物であっても枝が違えばそれなりの味わいも変わります。この一期一会をより美しく表現します。表現するにおいて同じ形になることはありません。

格花も新花の基本形の形にいける事から始めますが、それが目的ではありません。格花はその花材の「らしさ」を求める事へと進みます。また、新花でもその花材の持つ「らしさ」を表現する事が望まれます。

その花材一枝一輪の持つ美や個性をいかに表現するかで、美しく変身する事を楽しみ、玄関や居間の住空間に溶け込むかを楽しんでみましょう。

つまり、花を飾るのに必要なのは形ではなく、感性を養うことです。

NHK文化センター青山での講座ではすでに葉蘭、霞草、チューリップ、鉄砲百合、桜などをいけましたが、回数を重ねると色んな見方が出来るようになってきた気がします。

1種の花材を見つめる事で、いけばなを深く理解する事に繋ぐことが出来れば幸いです。

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