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未生流東重甫

10月の花:木犀(モクセイ)


2018年10月の花 <木犀(もくせい)>

お彼岸も過ぎ、秋らしい日々が続いています。暦の上ではいよいよ冬支度です。24節気での季節は晩秋、気節は九月節の寒露(10月8日~)、72候の次候に「菊花開」とあります。9月中の霜降(10月23日~11月6日)、末候に「楓蔦黄」(紅葉や蔦の葉が黄ばむ)とあります。

10月の別名には神無月、神去月(出雲だけは神在月)、時雨月、初霜月。愛景、応鐘、良月、陽月、小春月、孟冬、初冬、上冬、玄英、雷無月、木葉月、坤月、大月、名残月等々多くありますが、別名から感じる季節感と目で見る季節感そして肌で感じる季節感、色んな所から秋を感じてみましょう。

この頃になると庭木などからやけに良い匂いで季節を感じさせてくれる優しい木花、木犀(もくせい)を今月はご紹介します。

 <木犀(もくせい)>

木犀は被子植物、真正双子葉類、キク類、シソ目、モクセイ科、オリーブ連、モクセイ属、モクセイ種に分類される常緑性の小高木樹であり、広義では変種、品種(キンモクセイOsmanthus fragrans var.aurantiacusやギンモクセイOsmanthus fragrans var.fragrans)の総称です。別名に丹桂や桂花、金桂があります。属名はギリシャ語で「香り高い花」の意味です。

中国原産であり、中国では「三香」(三種の芳しい花)として、蘭、茉莉(ジャスミン)、桂花あるいは菊、桂、水仙と三香の1つにも挙げられています。

秋から冬にかけて、香り高い小さな花を葉腋に咲かせるのがキンモクセイやヒイラギなどモクセイ属の花木です。15種程がアジア、ハワイ諸島、北アメリカ南東部に分布していますが、日本には暖温帯から亜熱帯にかけて5種が分布、さらに台湾に分布するナンゴクモクセイが八重山列島の西表島に生育しているという報告があります。

日本で栽培されているギンモクセイは高さ10m程の常緑小高木で、中国名は「木犀」あるいは「桂花」で、これは中国西南部からベトナムにかけて分布しています。長さ7cmから15cmの葉は厚くやや幅広で、全縁か先端に鋸歯があり、花は9月下旬から10月下旬に咲き、黄白色から淡黄色、黄色、橙黄色と変異が有る。紫黒色の果実は1~1.5cmで翌年3月頃に熟します。

ギンモクセイに比べて、葉が大型だがやや薄く、幅が狭いものがキンモクセイ、ウスギモクセイ、シロモクセイの3品種です。橙黄色の花を付けるキンモクセイは花の香りによって存在が解るほど香りが強く、栽培されているのはほとんど雄株です。花が淡黄色のウスギモクセイは熊本や鹿児島両県の照葉樹林内に生え、しばしば栽培されています。なお、白色の花を付けるシロモクセイは雌株が栽培され、以前はギンモクセイと混同されていました。また、ギンモクセイ(シロモクセイを含む)とキンモクセイはどちらも中国由来とされていましたが、最近の見解では、シロモクセイとキンモクセイは国内でウスギモクセイから見いだされ、栽培化されたと考えられています。

<いけばなと木犀>

キンモクセイは花が散り易いので蕾がちの物を選びます。小さな投入れ花にしたり、葉とともにフラワーアレンジの土台にしたり、シンプルにその香りを楽しむのも良いです。ただし、食事の席等香りを嫌う席には不適切なので注意しましょう。ギンモクセイも同様です。

photo by ktsugita on Flickr

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