1年の巡りを早く感じる人もいれば、長い1年であったと振り返る人もいます。こんな風に毎年繰り返される年の瀬の慌ただしさを、楽しく感じられれば幸なことのように思います。1年の区切りとして、新たに迎える年が良い年であるように祈りつつ、良きにつけ悪しきにつけ、1年付き合ってくれた過ぎゆく年に別れを告げます。私自身、今年も12月のコラムを書く事が、1年を無事に送れたことを意味する気がしています。
こんな年の変わり目より一足早く、すでに日本では一大イベントになっているクリスマスがあります。私はクリスチャンではありませんが、このお祭りに便乗して年の暮の慌ただしさから少し逃れている気もします。 クリスマスを色で表すと、緑(永遠の愛)、赤(キリストの流した血の色)、白(純愛)になります。クリスマスの花になっているポインセチアの葉は緑、先端部の葉は赤、樹液が白で、まさにクリスマスカラーの植物で、特に日本ではポインセチアを飾りクリスマスを楽しみます。そこで今月はポインセチアを取り上げたいと思います。
ポインセチアは、被子植物、真正双子葉類、バラ類、キントラノオ目、トウダイグサ科、トウダイグサ属、ポインセチア種に分類される常緑低木で、高さ3mにもなります。学名はEuphorbia pulcherrima、英名はpoinsettia(ポインセチア)、和名がショウジョウボク(猩々木)です。また、ポインセチアの花言葉には、聖夜、聖なる願い、清純、博愛や慕われるなどがあります。 葉は濃緑色で、枝先に葉よりやや小形の苞葉が付き、この苞葉が11月~2月頃赤色になります。つまり赤い花びらのように見える部分が葉、ということになります。他に白、ピンク、黄色、紅白の絞り等々多くの栽培種があります。花序は壺型、黄色で小さく枝先に10数個付けます。
なお、原産地はメキシコ中西部のタスコ付近で、現存でも野生種が見られます。実はポインセチアは1825年に駐メキシコ大使になったポインセットによって米国に導入されました。ポインセチアという名前も彼の名前にちなんでいます。その後、1902年にドイツから来たエッケがカリフォルニア州でポインセチアの農場を開き、多くの有名品種を作出しています。最近の米国の品種にはエッケスポイント系のセレプレートやリロのほか、ノルウェーで作出されたアネット・ヘッグ系の品種も栽培されています。 日本には、明治時代中期に導入されました。秋から冬にかけての短日期に開花し、花序の下の苞葉が着色します。 花の少ない冬季に貴重な植物ですが、あまり冷え込む処では枯れてしまいます。
<いけばなとポインセチア> クリスマスアレンジには欠く事の出来ない植物です。鉢をラッピングして飾るだけでも、またアレンジメントフラワーとしてクリスマスカラーで取り合わせていけるのも良いです。ただし、凄くデリケートな植物ですので、すぐに傷がつき、その傷から白い液が出ます。枝の付け根も折れやすく、少し引くと取れてしまいます。
水揚げは、水で十分揚がりますが、切り口から白い液が出て塞いでしまうので根元をよく洗い、その切り口をアルコールに浸すか、切り口を焼いた後、深水に浸けます。
花にはあまり魅力を感じませんが、苞葉が色んな色や形のものがあります。枝も多く、小葉から大きめの苞葉まで様々で、他の花材と取り合わせる楽しみも多くあります。 クリスマスをテーマに取り合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか。