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未生流東重甫

9月の花:桔梗(キキョウ)


桔梗は、万葉集のなかで秋の七草と歌われている萩・尾花・葛・撫子・女郎花・藤袴・朝顔のうち、「朝顔」に該当するといわれています。 植物としては、キキョウ科キキョウ属に分類される多年草本植物で、自生株は絶滅危惧種でもあります。つぼみの状態では花びら同士が風船のようにぴたりとつながっているところから、”balloon flower”という英名を持っていますが、この他にもキチコウ、アリノヒフキ、オカトトキ、アサガオ等があります。また、花言葉には、優しい愛情や誠実、従順、変わらぬ愛、変わらぬ心、清楚、気品、正義等があります。 古くから生薬としても利用されており、桔梗の根は去痰、鎮咳、鎮痛、鎮静、解熱作用があるとされ、鎮咳去痰薬や消炎排膿薬などに使われています。 開花時期は、市に出回るのは6月下旬から9月下旬までで、10月になると入手が厳しいです。 花に特徴があり、花びらが1枚、その先端半分ほどが星形に割れて咲きます。緑の小さなつぼみが風船のように膨らみ、大きくなるにつれて色づきます。 ちなみにこのつぼみを間違って踏んでしまうと、ポンッと割れますが、間違ってもそれで遊ばないように!(笑) なお、花の形から「桔梗紋」が生まれ、京都では明智光秀の紋として知られています。また、安倍清明が使用した五芒星を桔梗の花の形に似ているところから「桔梗印」と呼び、現在の清明神社では神紋とされています。 お盆に上高地を散策しましたが、秋の七草から見つけた草花は、尾花、葛、花の咲いてない萩くらいでした。藤袴に似たヒヨドリ草が多く見られましたが藤袴は残念ながら見つけることができませでした。 暦の上ではすでに秋ですが、まだまだ秋は遠いようです。 <いけばなと桔梗> 未生流いけばなでは秋の花材として初夏から秋にかけて使います。 五節句の「七夕」で説明しましたように、桔梗、刈萱、女郎花の3種の草花で初秋をイメージして使います。 「体用相応の巻」では「数挿け物五種の心得」として説明があります。15本以上いける場合を「数挿け(かずいけ)」といい、体・用・留とそれぞれ結び形を調えます。30本以上もいける時は、体前添え・体後添え・用添え・留添えなど加えて7段または9段にもいけます。 いける際は、葉や茎を切ると白い汁が出るので、肌に付けないように注意して取扱いが必要です。肌についた場合はすぐに水で洗い流して下さい。 また、この液が水あげの邪魔をもしますので、切り口を洗い、塩か酢塩をつけるようにします。 山で見る自然の桔梗は、高いものは1mにもなりますが、茎が細く優しいものです。このような風情をいけばなでも表現したいものです。

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