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7月の花:睡蓮(スイレン)

  • 未生流東重甫
  • 2013年7月1日
  • 読了時間: 3分

7月は1日の海開きから始まり、七夕や夏祭りと夏真っ盛りの行事が多い月です。この7月には、文月(ふみづき)、七夕月(たなばたづき)、女郎花月(おみなえしづき)、初秋(はつあき)、 涼月(りょうげつ)、 蘭月(らんげつ)、桐月(とうげつ)など、他にも多くの名前があります。 また、7月の季語のうち、草木では半夏生(はんげしょう)や、百合、月見草、合歓の木(ねむのき)、夕顔(ゆうがお)、蒲(がま)、水葵(みずあおい)、睡蓮、蓮、月下美人、ダリア、向日葵(ひまわり)などがあります。そんな中から今月は睡蓮(スイレン)についてお話ししようと思います。 今年は5月に「初夏の草花を愉しむ」と題して社中展を開催し、杜若(かきつばた)3種、太藺(ふとい)3種、蒲(がま)2種、河骨(こうほね)2種、睡蓮2種など一般的によく知られている水草が数多く使われました。特に、睡蓮はいけばなとしては主役にはなりにくい水草ですが、ご存じのとおりモネにかかりますと主役の座を射止めるのも容易になります。フランスはパリのオランジェリー美術館やモネのアトリエのジヴェルニーでは睡蓮はなくてはならない物になっています。 睡蓮は、お寺の池などで季節の変化に伴い次々に花をさかせ、景色の変化を楽しませてくれます。その中で水に漂うように咲く睡蓮は、暑い陽ざしの中でも涼を感じさせてくれるのではなでしょうか。 睡蓮は、スイレン科スイレン属に分類される水生多年草です。日本では未草(ヒツジグサ)の1種類のみが自生しています。白い花を未の刻頃に咲かせることからこの名が付いたといわれていま す。睡蓮はヒツジグサの漢名ですが、一般にスイレン属の水生植物の総称としても使われています。ヒツジグサ以外の品種には以下のものがあります。 ブルー・ロータス…アフリカから東南アジアに分布し、古代エジプトの壁画などにも描かれています。 ヨザキスイレン…別名タイガー・ロータス。アフリカから東南アジアに分布し、ブルー・ロータスと同様古代エジプトの壁画などにも描かれています。 ホンザキスイレン…別名セイロン・ヌパール。河骨の一種ともいわれています。 アカバナスイレン…別名タイ・ニムファ。葉が真紅に染まる東南アジア原産のスイレン。一般にはアクアリウムで水中葉を観賞します。日本で花を楽しむことは難しい種です。 ティナ…園芸種。いけばなで睡蓮の代用品として使われる洋種の睡蓮です。比較的咲かせやすい品種です。 <いけばなと睡蓮> 水辺の清々しさを表現するために少し大きめの花器を使い、水面を大きくあけ、葉と花を浮かせて水辺の涼しさを表現します。背の高い藺や蒲を、真ん中に杜若や河骨をいける等、睡蓮と葉や花の違いが明らかな花材を使うように心掛けます。通常、ポンプで水揚げをしますが、それでも美しく咲かせることは難しいものです。まず、自分の足で採取するか根付きのままなら容易に咲いてくれます。 水に漂うように咲く花は、涼しげで水辺の景色を表現するにおいて欠かす事の出来ない花材の1つです。 (photo by quinet at Flickr)

 
 
 

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